最近、米国・英国・ドイツ・シンガポールなど世界各国のジャーナリストと一緒に日本人の‘謝罪’に
ついて意見をやりとりする機会があった。最近になって日本の政治家や芸能人など有名人はもち
ろん、企業が各種‘事件’を起こした後、これを収拾するために相次いで‘謝罪会見’を開いている
のがその背景だった。多数の参席者が下した結論は日本人たちの謝罪は過度に‘形式’にこだわ
る傾向があって、中身や真心がない場合が多いということだった。

不法政治資金授受疑惑をうけ甘利明(66)経済再生担当相が先月28日、記者会見を行って建設会
社から閣僚在任中、合計100万円(約1091万ウォン)を受けとった事実を認め閣僚職を辞任した。
甘利は経済財生と環太平洋経済パートナー協定(TPP)等の業務を担当してきた安倍晋三総理の
側近だ。（中略）この前までTPP交渉代表で活躍した閣僚が涙を流して謝罪する姿を見た国民の
間で同情論が広がった。続けてテレビに登場した安倍総理は「任命責任は私にある。国民のみな
様に深く謝罪申し上げる」と言った。

会見を見た人々の口からは「思い出すのは甘利の‘涙’しかない」という評価が多く出た。彼の容疑
が事実上、斡旋収賄性犯罪だという分析も、閣僚職は辞しながら国会議員職は最後まで続けるこ
とにしたのは問題だなどの批判は涙と共に流れてしまった。こういう前後の事情のために今回の記
者会見が総理官邸側によって徹底して企画されたものだという言葉もある。

‘企画説’が事実なのかは確認されなかったが、‘涙会見’の効果だけは大きかった。当初、日本メ
ディアは甘利の政治資金授受容疑が来る7月の参院選挙を控えた安倍政権に大きな打撃になる
という記事を書いた。しかし、会見直後に実施された各メディアの世論調査で安倍政権の支持率は
かえって上昇した。

日本の‘国民的グループ’と言われる5人組男性グループ、SMAP解散説騒動以後、行なわれた一
種の謝罪放送が所属会社システムの構造的な問題などには目を閉ざしたまま「これから ちゃんとす
る’というメンバーらの確約で満たされたことについても‘心のない謝罪’という批判が出た。

昨年末、韓・日慰安婦合意で安倍総理の‘謝罪と反省’を岸田文雄外相の代読でごまかしたことに
ついては日本人たちが重視してきた‘形式’さえも無視された謝罪だと酷評された。海外ジャーナリ
ストの議論が終りに近づく頃、あるドイツ出身のジャーナリストの指摘は‘形式的謝罪’で当面の危
機状況から抜け出すことだけに汲々とする日本人たちが傾聴すべき内容で関心を集めた。

「謝罪は相手方が納得するまで続けなければなりません。ドイツが過去の戦争の誤りについて反復
して謝ることを一つのモデルにする必要がありますね。」彼はたとえ形式的だとしても‘謝罪’を重視
する日本の文化には一定の意味があるとしながらも、謝罪する時は誤りに対する詳細な説明とそれ
に対する具体的な解決策を提示しなければならない、という意見を提示した。

‘事故’にあってもイベント性謝罪を通じてなんとか危機を克服しようとする日本の政治家・芸能人・
企業はもちろん、歴史修正主義の道を行きながら過去の歴史の誤りに対する真心からの謝罪を避
けようとする姿勢を見せる安倍政権まで必ず心に刻まなければならない忠告と感じられた。

ユン・フィイル、東京



ソース：京郷新聞(韓国語) [特派員コラム]形式しばられた日本人の謝罪
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201602232050075&code=990334